牧師のメッセージ

井の頭日誌 <自然と文明のバランス>    石井智恵美

 先日、気分転換に『ウルフ・ウォーカー』というアニメ映画を観てきました。
この映画はアイルランドに伝わる「ウルフ・ウォーカー」という、目が覚めている時は人間で、眠ると霊が体から抜け出し狼に変身するという生き物の伝説を描いています。彼らは森の狼たちを統率し、また森の癒しの力を操ることもできます。映画の主題は、狩人の娘ロビンとウルフ・ウォーカーの娘メーヴとの友情物語です。興味深いのは監督が、このウルフ・ウォーカーが聖パトリックによってキリスト教に改宗しなかった人々への罰だという伝説に着目しているところです。監督はインタビューでこう答えています。「ピューリタン(清教徒)は人間の動物としての一面を悪と捉えていました。しかし、動物としての人間を抑圧することはある意味間違っています。ウルフ・ウォーカーは、文明や社会と自然や野生のバランスを表すものだと思います。」さて、現代に生きるキリスト者はどうでしょうか。映画は中世から近代に向かう時代に、森を焼き払い、畑を開墾するために狼を森から追い出すピューリタンの護国卿という人物を、まさに頑固さの塊として描いているのですが。この映画は西洋版『もののけ姫』だなと思いました。自然と文明の対立とそのバランスーこの難問を問い続けなければ、人間存在の基盤である地球環境の破壊や気候変動は止められないだろうと思いつつ帰途につきました。画面は色彩にあふれ、美しく大人が観ても楽しめるお勧めの映画です。(2020・11・8)